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このコラムはSTUDIO LEDAスタッフによる、毎回独自のテーマを設けてお気に入りの音楽や映画や本等を紹介してゆくコーナーです。

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第八回「二枚組の名盤」

久しぶりの更新です!

MACCHOです。
今回は世の中で名盤と称されている多数のアルバムの中から、僕が思う素晴らしい二枚組の作品、
ずばり

「二枚組の名盤」

にスポットを当てて紹介してみたいと思います。

とにかく全部収録系

二枚組のアルバムというものは大きく分けて二つのパターンのものが多いですね。

一つ目は、
「とにかくミュージシャンがその時期才気とやる気にあふれていて大量の楽曲が出来たのであえてまとめずに全部収録しちゃいました」系アルバムです。(通称:とにかく全部収録系)

こういう作品には中にはきらっと光る楽曲もいくつか存在しますが、大抵は洗練されきれていない楽曲(いわゆる捨て曲ってやつですね)が多めに収録されているケースが多いため、あらかじめそのアーティストのファンでない人が聴くにはちょっぴり取っ付きにくい作品だったりします。
当然、そういう内容の場合はいわゆる名盤扱いには出来ませんよね。

実験的意欲作系

二つ目のパターンは、
「アーティストがそれまでの既存のスタイルから脱却し、新たな事に挑戦した実験的意欲作」系アルバムです。(通称:実験的意欲作系)

こちらのタイプの作品には実験性の高いものが多い為か非常に好き嫌いのわかれる作品が多いのですが、好きになる人には中毒性が高く、名盤扱いされるものも多いように感じます。
また、こういったパターンの二枚組には一貫したコンセプトや、収録曲が一つのテーマに沿った物語性をもっている作品が多い気もしますね。
有名な作品で言うとTHE WHOの「TOMMY」(ロックオペラと称された物語性の強い作品です)やPINK FLOYDの「THE WALL」などがこれに該当するように思います。

大分おおざっぱに分けてしまいましたが、それでは僕の思う二枚組の名盤をこれからいくつか紹介したいと思います。

SONG IN THE KEY OF LIFE/STEVIE WONDER ◎MACCHO的名盤度 ★★★★★

このアルバムはパターンで分けると前者(とにかく全部収録系)にあたるものだとおもうのですが、問答無用の名盤ですね。
基本的に二枚組というのは単純に収録時間が長いので、それを飽きずに集中して聴かせられる事自体非常に難しいと思うのですが、このアルバムは収録曲のクオリティーの高さ、演奏録音の素晴らしさどこをとってもこの時期のスティービーワンダーがいかに才気にあふれミュージシャンとして円熟期を迎えていたかが伝わってくる凄いアルバムです。本当に最後まで飽きる事無く聴く事ができます。ヒット曲も多く収録されていますし、ポップな曲もディープな曲もバリエーション豊かに収録されているのでいろんな人に勧められるアルバムですね。
二枚組アルバムの名盤として筆頭にあげられる事の多い作品でしょう。

THE BEATLES/THE BEATLES ◎MACCHO的名盤度 ★★★★

このアルバムはパターンで言うと後者(実験的意欲作系)にあたるのかな?いわゆる「ホワイトアルバム」と呼ばれているビートルズ史上一番の大作であり問題作です。ちなみに僕が一番最初に購入したビートルズのアルバムがこれでした。
このアルバムを最初に購入した理由は当時音楽の教科書にも載っていた「オブラディオブラダ」が収録されていたからなのですが、それ以外の楽曲のそれまで僕がビートルズに抱いていたイメージとのかけ離れっぷりにとても困惑したのをよく覚えています。正直「失敗した・・・」と思いました(笑)。
それからしばらくこのアルバムを聴き返し好きになるまでにはかなりの時間を費やしましたね。いわゆるトラウマになっていました。完全に(笑)。でも今ではとても好きなアルバムです。
当時二枚組のアルバムを発表する事自体まれだったと思うし、さらにあのビートルズがこんな実験要素の多いアルバムを作っちゃったんだから、びっくりした人も多かったでしょうね。確かに取っ付きにくさはあるアルバムなのですが、さすがのビートルズ、名曲も多いですし、聴くたび未だに新しい発見のあるとても半世紀近く前に発表された作品だとは思えない名盤だと思います。

LONDON CALLING/THE CLASH ◎MACCHO的名盤度 ★★★★★

CDでは普通に一枚にまとめられているので二枚組感の薄いアルバムではありますが、発売当時はアナログ二枚組で発売され話題になった作品なので二枚組アルバムとして紹介させていただきます。
それまではパンクバンドの筆頭として扱われてきたクラッシュですが、このアルバムによって一気に歴史的ロックバンドだと認識されるようになりました。
それにしてもクラッシュの短期間での音楽的成長速度は半端ではありません。その姿勢やバンドの存りかたはどこからどう見てもパンクバンドなのですが、単純にサウンドがパンクだったのは1stアルバムだけでして、それ以降は一枚ごとにサウンドががらっとまるっきし変わってゆくので凄い面白いバンドだなとしみじみ思います。
このアルバムは基本はロックンロールでありながらも、様々な音楽ジャンルをとてもポップに演奏していて、さらにどの曲も素晴らしく最後まで飽きる事無く聴けるのが気持ち良いです。19曲も入っていますがあっという間に聴き終えてしまいます。ロックという音楽がこのアルバムによってありとあらゆる音楽と融合されたという点で後の影響力も多大な大名盤です。

THE RIVER/BRUCE SPRINGSTEEN ◎MACCHO的名盤度 ★★★★

ブルーススプリングスティーンと言えば暑苦しく大仰なロックを演奏する人、というイメージを持つ人が多そうですが、確かのそういった面もある人ですがこのアルバムではとても小気味よく矢継ぎ早にポップなロックを演奏しています。
どの曲もとても聴きやすいのでスプリングスティーンの入門アルバムとしても良いかもしれません。楽曲のクオリティーも高く短い曲が多いので長さを感じさせず二枚をあっという間に聴く事が出来ます。
それだけではなく「THE RIVER」をはじめとするズンと心にくる重めの楽曲も収録されているのでそれが良いアクセントになっています。この時期のスプリングスティーンの多作ぶりを物語る作品でありながらも一つのテーマに沿って作られている部分もあるため二枚組名盤パターンの前者(とにかく全部収録系)にも後者(実験的意欲作系)にもあてはまる名盤です。

Mellon Collie and the Infinite Sadness/THE SMASHING PUMPKINS ◎MACCHO的名盤度 ★★★★

通称スマパンが残した名盤の一つです(邦題:メロンコリーそして終りのない悲しみ)。
二枚組だと言う事に限らずこのアルバムは90年代ロックの金字塔の一つですね。このアルバムが出た当時僕は高校生でしたがとにかく衝撃的でした。というのもそれまでのスマパンというバンドのイメージがどうも2枚組のアルバムを作っちゃうようなイメージじゃなかったからです。でもCDを買って1曲目の大名曲「TONIGHT TONIGHT」を聴いたときに「これは凄いアルバムだぞ!」と確信しました。
とはいえ飛ばしてしまう曲が正直に言うとあったりもするのですが・・・。
でもアルバムのクオリティーはとても高く、非常にかっこいいアルバムです。特に激しく重く歪んだギターサウンドが特徴的で(こういった音楽ジャンルは当時は少々乱暴に「グランジ」の一言でまとめられていたものです)当時このアルバムがバンドマンに与えた影響はかなりあったんではないでしょうか?僕もそんな一人でして、このアルバム収録曲にそっくりなリフで始まる曲を書いたりしたのも今では若き日の良い思い出です。(笑)

USE YOUR ILLUSION1&2amp;/GUN AND ROSES ◎MACCHO的名盤度 ★★★★

この作品は正確には2枚組アルバムではなく「二枚同時発売アルバム」なのですが、たまたま商売的な事情もあって分けて発売しただけで、実質二枚組とほぼ一緒だろう、と僕は都合良く解釈しているので紹介させていただきます。
一般的にガンズの名盤といえば1stのほうでこちらをあまりよく思っていない人も多いですが、このアルバムリリース時期の来日公演を僕は観て、それが中学一年生という多感な時期だった為か、ものすごく衝撃を受けたため(今思えば僕がロックにうつつを抜かして道を誤った理由の一つがあの来日公演だったように思います。笑)僕にとってガンズの名盤となるとどうしてもこっちの方を推したくなってしまいます。
二枚組名盤の必須条件である「飽きない」を十分に満たした聴き応えのあるアルバムです。ガンズにハードな不良ロックだけを求める人には一つも二つも納得いかないであろう肩の力の抜けた楽曲や冒険心あふれた楽曲も入っているますが、それがバンドの懐の深さを感じさせて僕はとても好きです。
とにかくこの頃のガンズは情熱と意欲に満ちあふれていたのでしょうね。その後結局このアルバムで軽く抜け殻になってしまったのかリリースがなくなり、主要メンバー脱退→活動を長らく休止という流れになってしまったのが残念でした。

その後の活動の明暗をわける踏み絵

…とまあ他にも紹介したいアルバムはいくつもあるのですが今回はこの辺にしたいと思います。
書いていて気づいたのですが、二枚組のアルバムってそれだけ制作時間や制作費がかかる訳ですから、その作品を発表する以前からある程度売れて評価されているアーティストにしか基本的に作る事が出来ないですよね。
新人が、よっぽどの事が無い限りはいきなり二枚組の作品をリリースできるはずがないので、そう考えると二枚組アルバム制作は人気アーティストにしか出来ない特権なのかな?なんて事も思いました。
でも出来不出来問わず二枚組の作品ってどれももかならずそのアーティストのターニングポイントとなっている重要作になっている気がします。ある意味その後の活動の明暗をわける踏み絵的な一面もありますね!
そういう風な事を考えて聴くとまた違った風に聴こえてくるからなかなか面白いです。

おまけで

最後におまけです。その他の僕が思う二枚組名盤のタイトル/アーティストを挙げておきます。
☆「something/anything / Todd Rundgren」
☆「Being There / Wilco」
☆「innocent age / Dan Fogelberg」

これらの作品もどれも素晴らしい作品だと僕は思っています。
ぜひチェックしてみて下さい。

また、僕が挙げた作品以外にもきっと世の中には素晴らしい二枚組アルバムがうんと沢山あるはずだと思います。
あえて二枚組に注目して探索してみるのも楽しいかもしれません。
ではまた次回お会いしましょう!

(text by MACCHO 2011.3.3)

<了>